HTML5 に関するノート(Wowza Blog 訳)

原文: A Note on HTML5

投稿者: Jamie Sherry

 

 

 

私が HTML5 をトピックにした記事を書いたのは 2013 年にまで遡ります。そのころの HTML5 はまだまだ未熟な状態で、DRM 対応やその他のコンテンツ保護の手法など明らかに欠如していました。保護されたコンテンツの再生に対応する Encrypted Media Extensions (EME)と、アダプティブストリーミングをサポートする Media Source Extensions (MSE)の開発を待っていました。今日では HTML5 をめぐる状況は様変わりしました。2014 年後半には HTML5 の仕様がリリースされ、HTML5 ビデオは目覚ましい進歩を遂げました。そこで、2016 年中頃における HTML5 ビデオの状況に関する私の観察とそれに対する考えを述べてみたいと思います。

MPEG-DASH と DRM と Google

HTML5 の仕様のリリースでは正式に 2 つのエリア、Media Source Extensions (MSE)と Encrypted Media Extensions (EME)が紹介されました。略して EME は、ライブとオンデマンドのストリーミングコンテンツの再生に対する DRM 保護を提供し、MSE はその再生を可能にします。全てはブラウザに含まれます。つまりAdobe Flash や Microsoft Silverlight といったサードパーティ製プラグインは必要ないということです。HTTP アダプティブストリーミングの MPEG-DASH フォーマットと Common Encryption Scheme (CENC : 一般的な暗号化スキーム)への対応が明確に含まれており、とくに CENC では複数の DRM プラットホームによる復号化が、コンテンツの暗号化のための標準として定義されています。

非常に重要な点は、Google Chrome (現在、市場をリードしているウェブブラウザ)が HTML5 ビデオサポートの向上を力強く牽引しているということです。Google Chrome は MPEG-DASH (H.264 および VP8 / VP9 (WebM 利用)コーデックを含む)による MSE に対応しています。さらに、EME にも対応し、間接的に Google Widevine (メジャーな DRM プラットホーム)への対応を可能にしています。他のウェブブラウザもやっと Google の足跡に追従を始めました。メジャーなブラウザの多くは現在、デスクトップおよびモバイル端末の両方で MSE と EME に対応しています。

動画プレイヤーアプリケーション

HTML5 仕様のリリースがきっかけになり、HTML5 プレイヤーアプリケーションを提供する会社の数も増加してきています。JW Player に加えて、THEOplayer (OpenTelly 社)や bitdash (bitmovin 社)、dash.js、video.js、Google Shaka Player などが現在は含まれています。これらのプレイヤーアプリケーションはライブやオンデマンドのアダプティブビットレート・ストリーミングのコンテンツを再生できるだけでなく、多くは字幕や DVR、広告挿入、VR / 360 といった先進的な機能にも対応しています。

Adobe Flash

Adobe Flash に対する Apple のスタンスが、ストリーミングコンテンツへの Flash の利用と未来にとって否定的に影響したことは皆さんご存じかと思います。ブラウザセキュリティやパフォーマンスといった問題もあり、Flash は急速に姿を消しつつあります。また、HTML5 が Flash に影響を及ぼしているという証拠もあります。たとえば:

  • 2015 年に、Facebook は Adobe Flash から HTML5 へ移行しました
  • 2016 年末までに Google Chrome は全ての Flash コンテンツのブロックを開始する計画を立てています(ただし、トップ 10 のウェブサイトは免除される)
  • 2017 年内までに、Adobe Flash ベースの広告フォーマットは Google DoubleClick (広告企業のリーダー)および Google AdWords で使用されなくなります。加えて、既存顧客は 2016 年 6 月 30 日以降、 Flash を使った新たな広告を送信できなくなります。

まとめ

HTML5 をめぐる状況には大きな進歩がありましたが、今後必要になるものもまだ多く残されています。たとえば、EME のための独自の要素の使用は、議論の的になると考えられています。DRM はブラウザごと、DRM プロバイダーはマルチ DRM サポートの方向へ動きつつありますが、現時点では DRM 保護されたコンテンツを幅広い視聴者に届けるためには、複数の DRM プラットホームの利用が必要な状況です。

と言っても、ちょこっとエキサイティングなことが近い将来やってきます。我々は HTML5.1 の仕様リリースが 2017 年にあるのではないかと予想しています。さらに、WebRTC や WebVTT、WebSocket はそれぞれ別個のものですが関連した HTML5 のイニシアチブであり、それら全てが牽引力を発揮することで、ストリーミングは今後も発展し続けることでしょう。

最後になりますが、Wowza Streaming Eingine は HTML5 においても、従来と同様にオンデマンドおよびライブストリーミングコンテンツ配信を、シームレスに行うことができるという点にぜひご注目いただきたいと思います。

  • HTTP アダプティブビットレート(ABR)ストリーミング
    • MPEG-DASH、MSE 互換ブラウザと HTML5 プレイヤーアプリケーションを使用
    • Apple HLS、Safari (ウェブブラウザ)と iOS 上で動作するネイティブプレイヤーおよびアプリを使用

Wowza 社は、業界をリードするビデオプレイヤーアプリケーションのベンダー各社とパートナーシップを結び、HTML5 互換のビデオコンテンツを容易に再生できるように取り組みを行っています。

投稿者(Jamie Sherry):

北米とヨーロッパに渡って、エンターテイメントやエンタープライズ、政府、スポーツにおいてメディアのトップブランドと共に働き、デジタルメディアや通信、ネットワークテクノロジーに関して 15 年以上の経験を持ちます。

 

以上、Wowza Blog 訳

DPSJ は、Wowza 社がパートナーシップを結ぶ HTML5 互換のプレイヤーを取扱っております。