活用事例: mmbi (NOTTV)

現在 NOTTV のコンテンツ提供ワークフローで、Digital Rapids 社のエンコーダ・ターンキーシステム「エンコード ONE PRO」と、Digimetrics 社のファイルベースの QC (品質管理)ソリューション「Aurora」が活用されている。 今回、NOTTV のコンテンツの配信技術を担当している、株式会社 mmbi システム統括部 北之園氏と、協力会社の岡氏、鈴木氏に、導入に至った経緯や活用方法等を伺った。

NOTTV (ノッティーヴィー):

日本初のスマホ向け放送局として 2012 年 4 月に開局。既存のテレビと同様な「リアルタイム視聴」サービスと、端末にコンテンツを一時蓄積して視聴する「シフトタイム視聴」サービスがある。今回の事例は、シフトタイム視聴サービスでのエンコード業務に活用されている。

株式会社 mmbi :

スマホ向け放送局「NOTTV」の運営会社で、放送法に定める基幹放送事業及び関連するサービス 等を事業内容としている。

株式会社 mmbi システム統括部 北之園氏(中)、
協力会社 岡氏(左)、鈴木氏(右)

導入の経緯

規格準拠(ARIB)したファイルを生成できるエンコーダ

[ mmbi ]: 「「シフトタイム視聴」サービス用の映像コンテンツとして MP4 形式ファイルを採用していますが、NOTTV は認可された放送局ですので、放送の規格(ARIB TR-B33)に準拠したファイルでなければなりません。

様々なエンコーダを試しましたが、いくつかのエンコーダでは ARIB に準拠するファイルを生成することができませんでした。最終的に DPSJ からターンキーシステムとして提供されている「エンコード ONE PRO」に辿り着きました。エンコード ONE PRO はコーデックの細かなところまでパラメータ設定ができたので、ARIB に準拠したファイルも生成できました。

また、XDCAM でコンテンツを受け取るのですが、エンコード ONE PRO は XDCAM ドライブから直接エンコード処理を行えたことも重要なポイントでした。」

品質と処理速度

[ mmbi ]: 「他のエンコーダで ARIB に準拠したファイルを生成できたものもありました。しかし、私どもは有料のコンテンツ配信サービスであり、スマホ向けの小さな画面とは言え、ある程度の画質を保ったコンテンツを届けなくてはなりません。

そのため、重い処理になりますが、より高品質な画質になる 2 パス VBR エンコードという処理を行っています。エンコード ONE PRO 以外のエンコーダでは、処理に実時間の 5 倍以上かかったため選定から外れました。」

品質とファイルサイズとのトレードオフ

[ mmbi ]: 「高画質にしたい反面、一時的とは言えスマホにコンテンツを蓄積するサービスであるため、ファイルサイズをできる限り小さくしたいのです。必然的に、低いビットレートでのエンコード処理をせざるを得ませんが、そうすると完全にブロックノイズの発生を防ぐことは難しくなります。しかし、スマホで見る分にはノイズが目立たない場合もあるので、そこは品質とファイルサイズとのトレードオフとなります。

従って、MP4 ファイル内にブロックノイズがあった場合には、それが許容範囲か否かを判断する必要があります。MP4 ファイルに含まれるブロックノイズの検出とその程度を見るために、Digimetrics 社の「Aurora」を導入しました。Aurora はメディアファイル内のブロックノイズ等を検出でき、さらにエラー箇所を付属の Hydra Player で素早く目視確認できるので、私どものワークフローに向いていると考えました。」

シフトタイム視聴コンテンツ・ワークフロー


シフトタイム視聴サービスにおける、コンテンツソースから放送されるまでのワークフロー概略図

4 式のエンコード ONE PRO

コンテンツは VTC (ビデオテクニカルセンター)でインジェスト後、XDCAM で提供される。XDCAM ドライブにある MXF ファイルを直接エンコード ONE PRO で 2 パスエンコードし、出力された MP4 ファイルは NAS に保存される。

また、直接外部からMP4ファイルにてエンコード済みコンテンツ素材が搬入される場合もあり、ウィルスチェックの後、同様にNASに保存される。

NAS 上に保存された MP4 ファイルは、ウォッチフォルダ機能によって自動的に Aurora の QC が行われる。他に専用のカスタマイズ開発された QC システムも同時に使用され、MP4 ファイルのシンタックス構造が検査される。

単純なプレビューを経た後、最終的に視聴者がコンテンツを再生するために必要なマニフェストファイル(視聴制限情報や暗号化など)を組み込むオーサリング工程に入る。必要に応じて、擬似放送システムでの視聴検証作業が行われる。

NOTTV が視聴可能なスマホはそれぞれ画角や見え方が違う。そのため数種類のスマホを使った視聴検証が行われ、その後放送配信用システムにコンテンツが渡され ON AIR される。

ライブエンコードでの活用

上記までは MXF ファイルを MP4 ファイルにトランスコードする例であったが、エンコード ONE PRO は放送用の映像・音声信号を受けて、リアルタイムにエンコード処理をすることもできる。NOTTV ではライブエンコーダとしてもエンコード ONE PRO を活用している。

幅広く活用できるエンコーダ

[ mmbi ]: 「主に番組編成担当から様々な要望が上がってきます。その 1 つに東京ガールズコレクションでリアルタイム視聴で放送されたものを、その翌日のシフトタイム視聴で配信できないか、という要望がありました。

色々と検討した結果、現在使用しているエンコード ONE PRO が HD-SDI 入力に対応し、MP4 と MXF (XDCAM)を同時に出力できるということもあって、ライブエンコーダとしても活用することになりました。」

エンコーダの柔軟性に助けられた

[ mmbi ]: 「視聴端末がスマホですので、従来のテレビではなかった見せ方が可能です。大きな特徴としては、画面をポートレート(縦長)にして使えるということです。実際、東京ガールズコレクションのときにモデルのウォーキングをダイナミックに表現するため、ポートレートで動画を見せることが提案されました。」

 

[ mmbi ]: 「しかし、単純にカメラを 90 度傾けて撮影すれば良いというものではありません。その映像をそのままスマホで再生して見ると、スマホが自身の上下と映像の上下を判断して、自動的に画面を回してしまうため望んだ結果にはなりません。」

 

[ mmbi ]: 「どうにかうまい具合に見せることができないか色々と検討した結果、エンコード ONE PRO で正しい向きにして、さらに全体が 1280 x 720 となるように両脇に黒い余白を追加しました。

後は、ビューワー側のスクリプトによって中心部分が丁度スマホのサイズになるように調整して、このアイデアを実現させることができました。エンコード ONE PRO の柔軟な設定機能に助けられた一例です。」

DPSJ のテクニカルサポートにも助けられた

[ mmbi ]: 「実は上記の東京ガールズコレクションにおけるエンコード設定も、DPSJ からアドバイスをもらい実現できました。また、開局まで準備期間が殆ど無い中で、配信する規格準拠のファイルフォーマットをエンコードできるようにするため、多くのテクニカルサポートを受けることができ大変助かりました。

多種多様な要望が番組編成担当などから相談されます。特に新しい試みに関しては試行錯誤とトライ & エラーを繰り返しますが、番組のオンエア期日があるのでのんびりとはやってられません。その時にトライ & エラーを極力少なくしたいので、的確なアドバイスをしてもらえる DPSJ のテクニカルサポートがあることを非常に心強く感じています。」

製品について

マルチフォーマット・リアルタイムエンコーダ / ターンキー・オールインワンパッケージモデル

PC、モニタ、ボード、ソフトウェアなど、エンコード作業に必要なすべてを搭載したオールインワン・パッケージモデルです。現在の配信業務では欠かせない AVC H.264 コーデック(両モデル対応)や放送局のファイルベースワークフローで多く採用されている XDCAMHD MXF フォーマット(STUDIO HD モデル対応)をサポートするなど、エンコード性能を大幅にパワーアップ。且つ、以前よりリーズナブルな価格を実現しました。

分かり易さにこだわった簡単ガイドや設定プロファイル集などをご用意。導入後すぐに操作方法を習得して業務を開始できます。また、保守・サービスメニューも用意しておりますので、万一のトラブルの際にも安心です。エンコードビジネスをこれから始められる方や、エンコード業務の増強をお考えの方にお勧めです。

 

自動処理、非参照型・ファイルベース品質検査

Aurora (オーロラ)は、インジェストまたはエンコード、トランスコードされたメディアファイルを自動的に検査し、予め決められた検査しきい値等から外れたものをエラーとしてレポートする QC (品質管理)ソリューションです。コンテンツファイルが要求されたフォーマットであるかの確認はもちろん、画像・音声のノイズを検査して目視検査の負担を大きく軽減させることが可能です。

Pro 検査ユニットに付属される Hydra Player とシームレスな連携によって、検査結果のレポートで示されるエラー箇所を素早くプレイヤーで確認できます。また、ウォッチフォルダに入ってきたファイルの名前や種類によって、動的に検査内容を変更できます。メディアワークフローの自動化にも柔軟に対応させることも可能です。

 

(取材/文/編集: DPSJ)