遠隔による眼科手術のトレーニングを実現する Media over IP

(2026 年 8 月投稿)

参考元:Magewell 4K USB Capture Devices Help Innovative Ophthalmology Specialists Remotely Train Retinal Surgeons

 

 

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大する以前から、ライブストリーミングを活用した遠隔医療は、外科教育の可能性を広げる手段として注目されていました。特に、十分な教育環境が整っていない地域の医学生や医療従事者に対して、場所にとらわれず高度なトレーニングを提供できる点が大きなメリットです。

パンデミックの発生後は、患者や医療スタッフの安全を確保するため、手術室(OR)に立ち入る必要のないスタッフや見学者の人数を制限する必要が生じ、遠隔医療の重要性はさらに高まりました。

そこで、アメリカの 3 人の眼科医は、Magewell の USB Capture HDMI 4K Plus を活用し、手術室で行われている手術のライブ映像を世界各地へ配信するシステムを構築しました。これにより、手術室に立ち会えない研修医や医学生はもちろん、医療教育の機会が限られている地域の若手外科医にも、リアルタイムで手術を学べる環境を提供しています。

手術の様子を世界へ配信

 

アメリカ・フロリダ州オーランドを拠点とする HEALTheia は、眼科医療向けに、高度な遠隔医療ソリューションやカスタマイズ可能なソフトウェアを開発しています。

HEALTheia の CEO 兼共同創業者であり、Florida Retina Institute の硝子体網膜外科医でもある S.K. Steven Houston III 医師は、2019 年後半からライブストリーミング技術を活用した遠隔手術支援ワークフローの試験運用を開始しました。Houston 医師と HEALTheia のパートナーである John Miller 医師は、網膜手術を学ぶためのオンライン教育サイトを開発し、そこにライブストリーミングを組み込むことを計画していました。

そして 2020 年初頭、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大により、医療現場での人の移動や手術室への立ち入りが制限されるようになると、この取り組みはさらに重要な意味を持つようになりました。

Houston 医師は、当時の状況について次のように説明しています。

COVID-19 の影響で感染リスクを抑える必要があり、医学生など多くの見学者を手術室に入れることが難しくなりました。

そこで、手術室の外へ映像をライブストリーミングすることで、より多くの研修医や医学生が手術の様子をリモートで見学できる環境を作ることができます

 

多くの眼科手術室で活用されているのが、Alcon 社の NGENUITY® 3D Visualization System です。NGENUITY は、従来の顕微鏡よりも高い奥行き感と細部の視認性を提供するよう設計されており、網膜外科医の手術をサポートします。

外科医は顕微鏡の接眼レンズを覗き込むのではなく、55 インチの 4K OLED ディスプレイを見ながら、ヘッドアップスタイルで手術を行うことができます。

Houston 医師は、この NGENUITY から出力される映像を、手術室の外へライブ配信する方法を検討し始めました。Miller 医師もさまざまな方法を試しましたが、既存のソリューションは比較的高価で、特に医療環境が十分に整っていない国や地域で導入するにはハードルが高いという課題がありました。

そこで求められたのが、必要な技術要件を満たしながら、手頃な価格で導入できるソリューションです。また、精密さが求められる手術では映像品質が非常に重要です。それと同時に、医療現場で継続的に利用するためには、IT やストリーミングの専門知識がなくても扱えるシンプルな操作性も重要な条件となりました。

 

Houston 医師は以下のように説明しています。

また、医師自身でワークフローを導入・運用できるよう、できるだけシンプルな構成にすることも重要でした。特に、IT やライブストリーミングに関する専門知識がない医師でも、複雑な設定に悩むことなく、すぐに使える操作性が求められていました。

発展途上国の眼科医を遠隔で育成

 

HEALTheia が構築したライブ手術配信のワークフローは、非営利団体の Advanced Center for Eyecare Global(ACE Global)でも活用されています。ACE Global は、発展途上国における次世代の眼科医の育成と支援に取り組んでおり、遠隔での手術教育を通じて、医療技術や知識を共有しています。HEALTheia のワークフローを活用することで、場所にとらわれず手術を学べる環境づくりを進めています。

 

ACE Global の代表で眼科医の Kevin Barber 医師は、次のように説明しています。

私たちの大きな目標は、眼科外科医の育成を通じて、失明の予防に貢献することです。世界における失明の主な原因の一つが白内障ですが、特に低所得国では、十分なトレーニングを受けた白内障手術の外科医が不足しています。より多くの外科医に質の高いトレーニングを提供し、より効率的に手術を行える人材を育成すること。それが、私たちが失明予防に貢献するための取り組みです。

 

ACE Global はこれまで、ホンジュラス、ハイチ、エルサルバドルなどの研修プログラムと連携し、年間 3~4 回現地を訪問して、外科手術を学ぶ研修医を直接指導してきました。

しかし 2020 年 3 月、Barber 医師のチームがホンジュラスへ向かおうとしていた矢先、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、現地への渡航ができなくなりました。これまで続けてきた現地での手術教育が難しくなり、活動を継続するための新たな方法が必要となりました。

そこで、活動を継続する方法を探していた Barber 医師は、Houston 医師と Miller 医師が Magewell 製品を活用した手術配信ワークフローについて執筆した医学論文を知りました。Barber 医師は Houston 医師に連絡を取り、4 月下旬に自身の手術室でシステムをテスト。その結果が良好だったことから USB Capture HDMI 4K Plus を導入し、翌週には Zoom を活用して、研修医向けに手術のライブ配信を開始しました。

現地へ渡航できない状況でも、手術の様子をリアルタイムで共有できる環境を整えることで、遠隔での手術教育を継続できるようになりました。

 

Barber 医師によると

遠隔地にいる外科医は、私が見ているものとまったく同じ映像をリアルタイムで確認しながら、手術中にも直接コミュニケーションを取ることができます。しかも、手頃な価格で導入でき、操作もシンプルです。私は技術の専門家ではありませんが、複雑な操作を覚える必要もありません。手術室で 5 分以内にセットアップでき、すぐに世界中へ映像を配信できます。映像品質にも満足しています。NGENUITY から出力された映像が劣化することもなく、手術映像の品質は申し分ありません。

遠隔トレーニングを実現するために活用したソリューション

 

こうした条件を満たす製品として Houston 医師が選んだのが、Magewell の USB Capture HDMI 4K Plus でした。Houston医師は次のように評価しています。

 

Magewell のキャプチャーデバイスは、入手しやすく、プラグ&プレイですぐに使えるため、同僚にも安心して勧められるソリューションです。また、手頃な価格で導入できることも大きなメリットです。

 

システムでは、NGENUITY から出力される HDMI 映像を USB Capture HDMI 4K Plus に入力し、USB 経由で OBS(Open Broadcaster Software®)と Zoom を使用して配信します。

OBS では、NGENUITY からの手術映像と、別のカメラで撮影した外科医の手元の映像を組み合わせ、1 つの映像として構成します。こうして作成した映像を Zoom を通じて遠隔地の参加者へ配信することで、手術の様子をリアルタイムで共有できます。

また、Zoom を活用することで、一般的なストリーミングプロトコルやサービスと比べて低遅延で映像を届けられるため、遠隔地にいる外科医や研修医とのリアルタイムなコミュニケーションにも適しており、Houston 医師は、プラグ&プレイによる使いやすさや手頃な価格に加え、Magewell 製品の高い信頼性とコンパクトな設計も高く評価しています。

 

Magewell のソリューションはコンパクトな設計で、外部電源や冷却ファンも必要ありません。限られたスペースで機器を設置する必要がある手術室において、余分なケーブルや機器を増やすことなく、すっきりとした環境で運用できる点も大きなメリットです。

世界各地へ広がる遠隔手術トレーニング

Magewell 製品を活用したこのワークフローにより、ACE Global は活動を継続できただけでなく、その取り組みをさらに広げることができました。

これまでに、ホンジュラス、ドミニカ共和国、ペルー、エルサルバドル、メキシコの医学生に向けて手術映像をライブ配信し、世界各地の手術室をつなぐ遠隔教育環境を実現しています。

さらに、失明予防に取り組む非営利団体 Orbis International と共同で実施した世界規模の手術ライブ配信では、81 か国の外科医が視聴しました。

現在、ACE Global は Alcon から研究助成金を受け、ホンジュラスに NGENUITY システムと Magewell 製品を導入する計画も進めています。これにより、現地の医師が手術映像を米国へライブ配信し、遠隔地から専門医による指導や評価を受けられる環境の構築を目指しています。

遠隔による医療のさらなる可能性

Miller 医師と Houston 医師は、ライブ配信を活用した外科教育の次のステップとして、双方向で指導を行う「インタラクティブ・テレメンタリング」の実現についても検討しています。さらに Miller 医師は、5G 無線通信技術を組み合わせた新たなワークフローの開発にも取り組んでいます。

こうした技術がさらに進化すれば、遠隔地にいる専門医が手術をリアルタイムで確認しながら、より高度な指導やサポートを行うことも可能になるかもしれません。Houston 医師は、こうした技術が将来の医療をどのように変えていく可能性があるのかについて、次のように述べています。

 

最終的には、手術映像をライブ配信し、リアルタイムで視聴しながら双方向でコミュニケーションできるこうした技術が、患者と同じ国にいなくても、世界のどこからでも手術や医療支援を行える『遠隔ロボット手術』につながる可能性があります。

私たちはまだその入り口に立ったばかりですが、Magewell 製品はすでに、こうした未来の医療に向けた一歩を踏み出し、変化を生み出すための力になっています。

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