NDI とは

NDI (ネットワーク・デバイス・インターフェース)は、IP ネットワークを経由してビデオとオーディオストリームを伝送する方式(IP 伝送方式)のひとつです。

Vizrt グループ(ノルウェー国)の NewTek 社(米国)によって開発されました。NDI は、現在世界で最も利用されている IP 伝送テクノロジーで、IP を利用したライブ映像制作ワークフロー支援を目的としています。

NDI の利点は、開発元の NewTek 社が提供するシステムだけでなく、NDI パートナーから提供される様々な対応システムやコンバーターデバイス、OS 上のソフトウェア同士でも利用できること。また、一般的なイーサネット環境をベースにして、ビデオとオーディオ、メタデータの相互伝送が可能な環境を構築できるので、従来の業務用映像機器と比較して投資コストの削減や設営業務の負担軽減を見込めます。

NDI 対応のシステム、デバイス、およびアプリケーション間におけるビデオとオーディオの送受信は、洗練されたエンコーディングと通信技術によって、高品質、低遅延、さらにフレームアキュレートに実現します。

Why NDI ?

なぜビデオ業務機材の IP 化が進みつつあるのか。IP 化のメリットとは何か。NDI が活きる場面は。

SDI (シリアル・デジタル・インターフェース)はビデオ信号伝送規格のひとつです。主に業務用の映像機材(VTR やカメラ、スイッチャーなど)の入出力信号として、放送局や制作プロダクションの設備だけでなく、業務用ビデオを扱う様々な現場(スポーツ中継、音楽ライブなど)で日常的に使われています。

まだデジタル放送が開始される以前から SD-SDI (当時は「SD」という区別がなかったので、そのまま SDI や D1 と言ってました)が存在し、現在は HD-SDI、3G-SDI、12G-SDI (SMTPE 規格)とビデオ解像度の拡大化に応じて進化してきました。一般的に同軸ケーブル(BNC 端子)を配線に使用します。

注)ここでは SDI over IP を含めておりません。

同軸ケーブルの利点

同軸ケーブルは一般家庭のテレビアンテナでも使用されていますが、ここではビデオ業務に使用される同軸ケーブルについて話します。

同軸ケーブルは、接続した端子同士の間で、ビデオとオーディオ、アンシラリデータなどの ”決まったもの” しか流れません。ケーブルは接続するだけなので、最も注意すべきことは接続先になります。また、ビデオが正常に流れているか簡単に分かるモニタやランプなどが装置・機器に付いていることが多いです。

IP ネットワークは基本的に ”多 vs 多” の通信が基本で、様々な情報のやり取りが行われます。IP ネットワークを構成する基礎的な知識が最低限必要で、ケーブルを接続するだけでは送受信できない場合がほとんどです。ビデオ専用機材ではないので、各機器を見てもビデオの状態を確認することはできません。

そのため、同軸ケーブルのほうがシンプルで、業務用のビデオ設備にとって安心感や信頼性を得やすいです。

同軸ケーブルはビデオ設備にとって安心確実で最適なものでした。ところが、4K そして 8K 解像度ビデオに向かっていく中で、同軸ケーブルの弱点が浮き彫りになってきました。

減衰

大前提として、同軸ケーブルに限らず、すべての電気信号はどこまでも永遠に届くわけではありません。ケーブル内を流れる信号は徐々に弱まり、減衰します。減衰によって信号が弱くなりすぎると、ノイズや信号の送受信トラブルの原因となります。

そのため、ケーブルの規格と流す信号の種類によって、使用できるケーブルの長さが変わってきます。

周波数

ケーブル内を流れる電気信号には周波数が存在します。周波数が高くなると減衰量が増加するため、高周波の場合はケーブル長に気をつけなくてはなりません。

4K / 8K 解像度では大量の情報を伝送するために周波数が格段に高くなります。周波数が高くなりすぎると磁界が強くなるため、周辺のケーブルに影響与える可能性がでてきます。8K を扱う場合は、ケーブルの長さだけでなくケーブルのシールド(銅芯を複数の層で包むことで磁界を防ぐ)品質、配線の仕方にも気を配る必要性が出てくるでしょう。

同軸ケーブルの利点と弱点を理解した上で、SDI と IP(RJ-45 ケーブル)をベースにした場合での比較をしてみましょう。

ケーブル長(伝送距離)

伝送可能距離: 100m (4K、12G-SDI、L-5.5CUHD の場合)

延長方法: 12G-SDI 対応のリピータなどで中継

伝送可能距離: 100m

延長方法: スイッチングハブなどで中継

配線

1 本のケーブルで、1 チャンネルを 1 方向へ流すことしかできないので、チャンネル数と機材の数だけ配線する必要があります。カメラから受け取った信号を送り返す場合には、2 本のケーブルが必要になります。

配線自体は BNC 端子(差し込んで回すことで固定される)が一般的で、接続すればビデオストリームは流れます。ビデオが流れてこないときは、上流へ向かって調べていくことで解決できることが多いです。

ケーブル自体が頑丈なシールドで覆われて重いので、大規模な配線作業はかなりの重労働です。恒常的な設備に向いています。

複数チャンネルを多重化して、双方向に情報を送ることが 1 本のケーブルで可能なため、必要最低限のケーブル数に留めることができます。

配線自体は簡単ですが、ケーブル接続した後で IP ネットワークを構成する必要があります。そのため想定通りにビデオが流れてこない場合は少々複雑で、物理的または論理的に調査が必要です。ただし遠隔地からメンテナンスが可能になる部分はメリットと言えます。

RJ-45 ケーブルは流す情報量に応じた種類(Cat7 など)がありますが、基本的に曲げやすく軽い素材でできているため引き回しは楽です(同軸ケーブルと比較して)。

機材

使用する信号(12G-SDI、3G-SDI など)と目的(ルーティング、マトリックススイッチャなど)に合わせて専用の機材が必要です。基本的にビデオまたはオーディオの業務用機材なので高価なものが多く、値下がることはありません。

一般的に利用されている汎用の IP ネットワーク機材(ルーターやスイッチなど)を利用します。専門機材ではないので、現在高価なもの(10G や 100G スイッチなど)も、普及するにつれて価格が下がっていくことが考えられます。

SDI から IP へ、NDI の普及

これからの高解像度化や情報量の増加傾向を考えると、なぜ IP 化が推進されているのか理解できたのではないでしょうか?同軸ケーブルは一時代の役割を終えた感もありますが、IP 化が絶対に正しいというわけでもなく、長所を活かして目的に合わせて使うことが一番です。

同軸ケーブルのメリットは、シンプルで長年培われてきたノウハウと慣れ親しんだ物であることです。単純な用途では同軸ケーブルのほうが楽なケースが多く存在すると思います。長期間の利用が考えられる基幹設備に同軸ケーブルを用いるのは、将来的なメンテナンスを考えると得策ではないかもしれません。

IP のメリットは、伝送する情報の多重化と双方向通信が可能になることで、引き回すケーブルの数が減り、作業の省力化にもつながります。また、汎用のネットワーク機器を使える柔軟性も持ち合わせています。ただし、ネットワークの最適化を図らないと多方面に悪影響がでる可能性があるので、その点が繋げば流れる(はず)の同軸ケーブル設備と比べた場合の大きなデメリットにはなってしまいます。

以上のことを踏まえると、IP 化を進めることで大きなメリットを得られるのは、短期間で構築、撤収をするような大中規模イベントなどが考えられます。 例えば、スタジアムでの音楽ライブや野外フェスなどでは、ステージ脇の大型モニタに 8K を使うことも容易に想像できます。

このようなイベント設備の IP 化を考えたとき、ライブ映像制作ワークフロー支援を目的に開発された NDI は最適なソリューションと言えます。他の IP 伝送方式と比べてライトに始められること。多くのパートナーから様々なソリューションをリーズナブルな価格帯で提供されていることが、NDI が利用しやすい要因だと考えられます。

NDI 以外の IP 伝送方式

 

AIMS: Alliance for IP Media Solutions Alliance は、放送メディアおよびプロフェッショナルオーディオ / ビデオ業界において、SDI から IP へ移行するために必要とされる標準規格の採用を促進して、世界的に IP 伝送の仕様標準化を目指す非営利団体です。SDI をシンプルに IP にカプセル化して伝送する SDI over IP(SMPTE ST 2022-6)を起点として、業界の IP 化を推し進めています。

アライアンスメンバーにはメジャーな業務用ビデオ機器メーカーが多く参加しています。NDI と比べると、放送局のオートメーションなどの基幹設備に使われるような特長と仕様を備えています。

NDIの便利なところ

ソフトウェアベースである

NDI はソフトウェアベースで開発されているため、ハードウェアに依存しません。従って、ビデオ解像度やフレームレート、カラースペースなどに縛られません。一般的な放送規格から外れた画面(モバイルやサイネージ用の四角、縦長、横長など)にも対応できます。

アルファチャネル(キー)を含められる

SDI だと 2 本のケーブルが必要だったアルファチャンネル(キー)の出力が、NDI だと 1 本で済みます。

高効率なビデオ伝送

NDI はビデオエッセンスを圧縮して、比較的低いビットレートでありながら高品質なビデオ転送を実現します。しかも、非圧縮方式のようにネットワーク上で常時データが流れるわけではなく、必要なときに必要なだけのデータを流すので効率的なネットワーク運用を可能にしています。

この表はビデオフォーマットごとの NDI ビットレートを示していますが、記載の数値よりも低いことがほとんどです。さらに、2020 年にリリースされた NDI バージョン 4 では、圧縮処理効率の更なる改善されており、これまで以上に高効率なビデオ伝送が期待できます。

双方向通信

送信側と受信側の間で、相互にデータ伝送のやり取りを可能としています。やり取り可能なデータはビデオだけでなく、プロキシ(サムネイル)やオーディオ、メタデータ、PTZ カメラのリモート・コントロール、タリーなどの制御コマンドといったものが含まれます。

ビデオの品質と低遅延

NDIは、MPEG2 や ProRes と同様の圧縮方式を採用して、圧縮されたビデオは再度圧縮・伸張を繰り返しても品質が保たれます。また、SDI(16 から 32 スキャンライン)と同程度の遅延(Latency)を保証しています(最適化されたネットワーク上であることが前提)。

自動検知機能 mDNS

マルチキャスト DNS 機能によって、ネットワーク上にある NDI 互換のカメラやシステムを自動的に検知するので、同じネットワークに接続するだけで既存のワークフローへ簡単に追加させることができます。

ネイティブレコーディング

NDI 4 から、トランスコード無しで記録することができるようになり、ポストプロダクション向けのワークフローにおいても利用可能となりました。書き込み速度を確保すれば、同時に複数のチャンネルをレコーディングすることも可能です。また、以下のレコーディング機能を備えています。

  • MOV ラッパー使用
  • NTP(ネットワーク・タイム・プロトコル)で各フレームにタイムコードを付加
  • アルファチャンネル、プロキシ(プレビュー映像)も同時に記録
  • レコーディング数は無制限
  • 再圧縮は不要
  • アスペクト比、フレームレート、画素数は問わない。
  • NDI|HX も H.264 エッセンスのままでレコーディングが可能(MP4)
多くのパートナーと共に進化

SDK が無償提供されているので、刻々と変化する市場のニーズに対応、開発パートナーも年々増加しています。

NDI ソリューション

ライブプロダクションシステム

音楽や演劇、スポーツといったエンターテイメントから、E ラーニングやオウンドメディア向けのコンテンツなど、様々なライブコンテンツ制作に活用できる NDI ベースのライブプロダクションシステム(: スイッチャー、スローモーション、配信など)です。

NewTek VMC1

NDI をベースとした、SDI / IP のハイブリッド 4K UHD 44 入力チャンネル対応、ライブ・プロダクション制作・配信システム

TriCaster シリーズ

番組制作、配信に必要となる基本機能をひとつに詰め込んだ、オールインワンのライブスイッチャーシステム

TalkShow

マイクロソフト社「Skype TX」テクノロジー搭載ビデオ中継システム

3Play

ハイデフニッション リプレイ・スローモーションシステム

MediaDS

リアルタイムのメディアエンコーディングおよびライブストリーミングビデオ配信プラットフォーム

コンバーター

NDI と一緒に既存の SDI や HDMI の機材(カメラなど)も使いたい。そんなときは以下のコンバーター機器を利用することで、簡単に組み込むことが可能です。

Pro Convert Family

NDI ストリームを簡単・確実にエンコードまたはデコードでき、必要十分な機能と性能をリーズナブルな価格で提供します。

NC1 Studio I/O モジュール

NDI エンコーダ / デコーダ

Spark Plus 4K

NDI エンコーダ(HDMI)

Spark Plus IO 4K

NDI エンコーダ / デコーダ

Spark Plus IO SDI

NDI エンコーダ / デコーダ

BirdDog Studio / Mini

NDI エンコーダ / デコーダ

BirdDog 4K HDMI

NDI エンコーダ / デコーダ

BirdDog 4K 12G SDI

NDI エンコーダ / デコーダ

BirdDog 4K QUAD

NDI エンコーダ / デコーダ

インジェスト / プレイヤー

NDI ストリームをストレージにファイル化して保管するインジェスト(キャプチャ)や、メディアファイルを NDI ストリームとして再生出力することも可能です。

Metus INGEST

NDI などの IP ストリーム、SDI や HDMI (キャプチャデバイスに依存)などのビデオ信号をメディアファイル化してストレージに保管します。保管に伴う便利な機能が搭載されています。

Metus Player

プロフェッショナル向けのマルチフォーマット・ビデオ再生ソフトウェア。リスト / プログラム化されたメディアファイルを NDI などの IP ストリームや、SDI や HDMI (キャプチャデバイスに依存)などのビデオ信号で再生出力します。

LiveMedia Server NDI

デュアルチャンネル HD ビデオプレーヤー/レコーダー。2 系統の NDI ビデオストリームを、ほとんどの業界標準コーデックおよびファイル形式で同時に録画および再生することができます。

PTZ カメラ

上下左右の首振り・拡大縮小を IP 経由でリモート制御できるカメラ。現在では NDI に対応した PTZ カメラが多数存在しています。

NDI PTZUHD Camera

最大UHD解像度の高品質なビデオ画像をネットワーク上のどこからでもIP 経由で簡単に取得し、送信することができます。

NDI PTZ1 Camera

3G-SDI と HDMI による映像・音声出力の標準サポートに加えて、NDI へリアルタイムに変換します。

VC-A50P
CV620-IP | CV620-IPW
PT-12X-SDI-xx-G2 | PT-20X-SDI-xx-G2 | PT-12X-USB-xx-G2 | PT-20X-USB-xx-G2 | PTVL-ZCAM | PT20X-ZCAM

Panasonic

AW-UE70 | AW-HE40 | AW-HE70 | AW-HE65 | AW-HE38 | AW-HE58 | AW-HE35 | AW-HE48 | AW-HE130 | AW-UE150 | AG-CX10 | AG-CX98 | AG-CX350 | AW-UE65/UE63 | AW-UE155 | AJ-UPX360 | AJ-CX4000 | AJ-UPX900 | AW-HE42 | AW-HE75 | AW-HE68

SONY

BRC-X400 | SRG-X400 | SRG-X120 | BRC-X401* | SRG-X402* | SRG-201M2* | SRG-HD1M2*
スマートフォンアプリ

あなたのスマートフォンを NDI 対応のデバイスにすることも可能です。わざわざ大きな PC を持ち運ばなくても、現場で活躍するかもしれません。

フリーツール(無料)

無料で入手できる NDI 対応のソフトウェアやアプリがあります。スマホや PC を使ってちょっとしたことに NDI を便利に使ってみましょう。